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 最後に紹介するのは”馬乳酒”として日本でもよく知られるアイラグである
これはカザフ族はじめロシアなどでもクミスとして、ひろく飲まれている
 
馬乳を搾る・・・モンゴルの夏の風物詩だ
 















遊牧国家では基本的に、野菜を食べない。それこそ草は家畜の食べるもので
農耕民族からすると何もない草原は、遊牧民からすると、太陽の恵みをうけ
ゆたかな草原である。

その草原の草をたくさん食んで、家畜たちは肥えてミルクをたくさん、だすわけ
である
 
夏の祭典「ナーダム」でも振舞われる






















 


モンゴルの夏の祭典、「ナーダム」が7月11日の独立記念日に開催される
会場に設置された特設のゲルでは、たくさんのアイラグがふるまわれる
 
馬乳を搾る・・・仔馬に吸わせて誘引してから搾る
 





















搾乳は6月初夏からだいたい2ヶ月ほどで、まずは仔馬にのませ分泌を即して
から絞る。それこそ1日絞っているようだ。回数としては4~5回である

n49.jpg





 






そのミルクの乳糖を乳酸菌で発酵させてビタミンやミネラルが豊富な飲み物と
なる。”酒”と書くがアルコールは2パーセント程度で、飲み口は
ヨーグルトドリンクのようだ。だから子どもたちも大好きだ

馬乳酒をのむ・・・アルコールは少なく、ヨーグルトドリンクのようだ・・・子どもたちも大好きだ

 














絞ったらフルールといわれるウシの皮でできた大きな袋に入れて、攪拌する

馬乳酒を醸すフフールという革袋

 



















まぜれば、まぜるほどおいしくなるという。それこそ、数千回、数万回・・・
次の日には飲める

革袋には長年の乳酸菌が宿る・・・とにかく混ぜる
 




















冬に肉ばかりを食べていた身体は、初夏をむかえ、たくさんの必須栄養素を
補給されるわけである

馬乳酒をのむ・・・馬の頭をかたどった柄杓「オジャウ」
 















とにかくまぜる、まぜる。よそのゲルを訪れても、礼儀として攪拌してから帰る
そうだ。とにかく、まぜる・・・
左下の写真には保存食の干し肉、ボルツがたくさん、ぶらさがっている

最近ではこのような容器でも造られる・・・とにかく混ぜる







 




ゴビなどでは、ラクダでもアイラグを醸す
メスのラクダのモンゴル語、インゲーからインゲーアイラグという
 
ウマはメスのほかオスでも、年齢でさまざまな呼びかたがある。生まれてから
明け6歳以上のメスをグーという

このことからグーニーアイラグとして区別している
 
右下の写真はモンゴルの最西部、バヤンウルギー県のカザフ族である
おなじようにアイラグをつくるが、

おき場所はモンゴル族の入り口から左側ではなく反対の右側である
袋も特徴がある。カザフ語いわゆる、チュルク系言語でクミスという

おもしろいことにタラグ、ヨーグルトはアイラックといっていた
 
カザフ族とはゲルのなかでの置き場所もことなる 








 













飲み方は大きなドンブリでたくさん飲む。飲むときに飲み口に息を吹きかける
ゴミなどをよけるそうだ。

以前にペットボトルからじかに飲もうとしたら、とめられてしまった
 
日本の旅行会社ではこのアイラグを勧めてはいない。慣れていないと下痢を
おこすことがおおいためだ。また、よく日本に持って帰ろうとする人もいて
殺菌されていない発酵乳であるから、よく機内でペットボトルから吹き出して
しまった、という話もきく
 
 
●カルピス
 
これはもちろん日本の食品会社である。ここに記載するのはそのルーツにある
教師であった三島雲海は1902(明治35)年、25歳で北京に渡る
 
ここで事業を興すが1915(大正4)年の辛亥革命で清が倒れたことで38歳で
帰国する。滞在していた。

1908(明治41)年に雲海は内モンゴルの克什克騰(ケシクテン)旗
(旗-ホショーは清朝時代にモンゴル族組織行政区)の王侯の鮑氏宅に滞在した
 
ここで酸っぱい牛乳や、酸っぱいクリームをたくさんいただいたそうだ
雲海は乳酸菌でできる”酸乳”に着目した。遊牧民の攪拌する瓶に入った乳は
胃腸を整え、健康にもいいということだ
 
帰国した雲海は内モンゴルで得た経験からサワークリーム、モンゴルでいう
ジョッヘをつくる
それが「醍醐味」である。そのときできる脱脂乳をどうするかが問題だった

そしてその活用方法として乳酸菌と酵母で発酵させてできたのが
乳酸飲料「カルピス」である
 
そこにモンゴルをルーツとした乳製品が生まれたのである
これはカルピスの社史にもでている
 
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ひととおりの伝統的なツアガーンイデー、「白い食べ物」について見てきた
ここで新しい方法でつくられる乳製品を紹介したい。手動の遠心分離機、
クリームセパレーターでツツギというクリームを分離する。これはロシア
からの技術で内モンゴルにはない言葉だ
遠心分離機、クリームセパレーターでミルクを分離する

















マスル、モンゴル語でバターである。さきにでてきたシャルトス、黄色い脂などと
いうひともいるが正しくはマスルである

遠心分離機、クリームセパレーターでミルクにミルクを投入する
















モンゴル各地のお店でよく見かけたのが、オロス・マスルと書かれたバターで
ある。これだけ乳製品が豊富なモンゴルなのに”ロシアのバター”とは・・・
いつも不思議に思っていた。ある日、この謎がとけた・・・

遠心分離機、クリームセパレーターでミルクにミルクを分離する






















写真の遠心分離機が、なんのことないロシア製の機械だからだ。この機械を
つかってつくったバターのことだったのだ・・・
モンゴルは独立後、ロシアの影響をおおきくうけてきたことを物語った出来事
だった・・・

絞りたてのミルクを塵などを除去するため、濾しながらいれる。ギア比によって
大きなハンドルをゆっくりと回していくとブーンとおとをたて、高速でなかが、
まわりだす。ふたつの口から比重の軽いクリーム、ツツギと脱脂された
ボルソンスーに分かれる

分離されたクリームを振とうするし




















ツツギは、細い木のタルで上下に攪拌、振とうする。チャーニングである
のこりのボルソンスーは前項のようにタラグからシミアルヒ、
そしてアーロルなどなど加工される

固まってきたクリームを冷やす










タルのなかで、やがて分離がはじまり、そのかたまりを、冷たい水につけて固める
とできあがりだ

焼きたてのパンにこのバターをつけて食べた。最高の贅沢だった
ボルガン県のティシク村の郊外でブリヤート族のお宅である
ブリヤート族はモンゴル北部の民族で、多くはログハウスで暮らす

バターの出来上がり、また発酵バターーもつくる







ツツギは発酵させてエッセンとなる。さらに65度で30分加熱し分離したものが
ズーヒーといい発酵バターとなる

●オーラグ
家畜の出産期はだいたい、2月ころである。厳冬期のモンゴルも、なかなか
たいへんで行くことも少ないため、なかなか出会うことはない
たまたまよった遊牧民の、それこそ冬営地で、それも出産があったときに
出会うしかないだろう

生後、5日までの初乳をつかう
















 

ウシの初乳、仔牛の生後5日くらいまでのミルクで、やや黄色い。これを加熱する
と凝固する。厳冬の2月、トナカイ遊牧民の取材の帰りに泊まったボルガン市で
家畜を飼うお宅でご馳走になった

ウシの初乳を加熱、凝固したオーラグ、牛乳豆腐だ












カスタードプリンのようで濃厚でほんのりと甘く、とてもおいしい。日本では、
わたしのふるさとである北海道や、現在すんでいる栃木県の那須など、
酪農をしている人たちの、あいだでは”牛乳豆腐”として食されている
テレビなどでも紹介されているが、流通しない貴重なものだ

ウシの初乳を加熱、凝固したオーラグ、牛乳豆腐だ












 

つぎは、そんなに手の込んでいない比較的簡単な乳製品のつくりかたである
それはモンゴル人だって凝り性の人ばかりではない。比較的かんたんな乳製品
もある
搾ったミルクにヨーグルトを少し入れ加熱すると、分離し、凝固する。重石をして水分をぬく





















上は、夏のさわやかな草原。フブスグル県ツァガーンノール村。モンゴルでも
北の地域ではウシと交配させた、ヤク、サルダク (今、調査中です・・・)

酸凝固という現象を利用する。熱したミルクに酢などをいれてつくる
カッテージチーズとおなじということだ

搾ったミルクにヨーグルトを少し入れ加熱すると、分離し、凝固する














 

搾ったミルクをヨーグルト、タラグをいれ加熱すると分離する。固まりはエーデム、液体はシャルオス
凝固したものは英語ではカードといわれる。それを熟成したものがナチュラル
チーズで水分は乳精、ホエーとして最近、日本でも畜産の分野で注目されている

●ビャスラグ
重石をして水分をぬく







 


それを布の袋にいれる。板でその袋をはさみ、石の重しをして水分をぬく
この水分はシャルオスといいさきのアーロールのときでた、シャルオス”ホエー
乳精”同様、皮のなめしなどに使うそうだ

右下の写真の小山は、乾燥したウシのフン、アルガリである。ミルクを熱する
たいせつな燃料である。水分がぬけたらウマの毛などで切り分ける




















4~5時間してから、とりだしモンゴルらしくウマの毛で切り分ける
これでできあがり。少々モソモソし酸味などもない。絞りたてのミルクを
浸したりして食すと、できたての新鮮なビャスラグを味わうことができる

さらにそれらを写真のように紐などをとおし、室内で干して、
ハタスンビャスラグとして保存する。ハタスンとは”干す”という意味だ切り分けられたビャスラグ












モンゴルの夏の日差しで干す。湿度の少ないモンゴルの空気はいっきに水分を
とばす。おみやげにもらってが、日本に帰ったらカビだらけになってしまった・・・

左下の写真は、袋に入れたままの状態をうつわにとって食していた。いろいろな
食べかたがあるものだ。右下はビャスラグの製造工程で凝固したもの
をそのまま煮詰めて濃縮し型にいれ、エーツギーとしたもの

かためずに砂糖などで食べることもある。右はホエーを入れたまま乾燥したエーツギー








水気をきっただけのビャスラグは砂糖などをかけて食する。モンゴル人は甘い
ものが大好きだ。砂糖は村などのお店で手に入る

日本人は砂糖は南国の産物とのイメージが強いようだが、
日本でも北海道での砂糖の生産量は全体の8割
になる。甜菜(テンサイ、ビート)であるが、ウランバートルで
売られている砂糖もロシア製、フィンランド製がほとんどだった夏の風物詩、ゲルの屋根はビャスラグが干される











夏のゲルは「白い食べ物」でいっぱいだ。右下のやや黄色いのはホエー、
乳精をそのままにしたものだ

さすがに、屋根に干しきれないものは、それこそ「モノ干台」が登場する

夏の風物詩、ビャスラグが干される





















夏のゆたかな恵みで1年分の乳製品をつくる。モンゴルではミルクをそのまま
飲むことは少ない。こうして加工することで保存食にするのである
太古からの先人の知恵は数千年と受け継がれている

最終工程でできあがるのがアーロールで、一連の乳製品の代名詞のように
いわれる
シミアルヒをとったあとの残りである

















さて、シミアルヒができたところで、大きなナベにのこったものは
ツァガいう。布の袋に入れ水分をぬく

残りの水分、乳精はホエーという。ふくろのなかはアルツだ

















草原でも、ウランバートルの高層アパートのベランダでも
同じことがおこなわれる

乳精はホエーは日本でも家畜の飼料にまぜる試みがなされているという
















水分、ホエー、乳精であるシャルオスが結晶している。家畜がよく舐めにくる

乳精はホエーのあとには家畜が集まって舐めていることがある














水分をぬいたものアルツという。これを型にいれたり、てきとうな大きさに切って
天日干しする。モンゴルではアーロールとふつうによぶが、内モンゴルでは
ホロートということである

アルツを天日干しにし、さらに水分をぬく











また、工場でも生産され、モンゴルの代表的なお菓子でもある

モンゴルでの大切なビタミン源、町でも売られている










放牧やゲルのフェルトの繕いなどの作業をし、お茶や、お昼などに、揚げパン
ボルツクなどをモンゴル茶、スーティツァイなどと食する。スーティツァイとは
ミルク茶で、生活に欠かせないミルクの存在である

出来上がったのがアーロール、乳精は皮のなめしにもつかわれる










さきに絞ったシャルオス、乳清、ホエーは、皮の”なめし”につかわれる

搾乳でえられた、乳が酒になる?そう、お酒ができるんです。

酒をつくるためのアイラグである
 














タラグを木のタルにいれ、攪拌しながら2~3日おくとホルモグというとても
酸っぱい酸乳になる。さらに4~5日発酵させ、いわゆるアイラグ、馬乳酒とは
べつの「酒をつくるためのアイラグ」となる

発酵した酸乳の樽、多くの乳酸菌がそこにはある














毎日、搾乳されたミルクは、行程をへて酸乳のタルに補充される。乳酸菌などは
木のほうがいいようだ。日本でも老舗の味噌や醤油工場では、
壁に酵母菌などが付着することで伝統の味を護っているということを
聞いたことがある


加熱される発酵乳、これからが楽しみだ














ストーブに大きなナベをのせ、ここにこの「酒をつくるためのアイラグ」を
なみなみとあける。写真のように底のないタルをかぶせ、そのうえにまた
タライのような大きなナベをのせ、水をいれる。ようするに蒸留する
わけである。トゴーブリヘルという蒸留器だ

トゴーブリヘルという蒸留器をなべにあてがう












加熱された「酒をつくるためのアイラグ」からでた水蒸気は、水をいれたナベの
底で冷やされ、水滴になり、あつめられる。写真のようにうつわをぶら下げる
ものと、木のへらでそとのうつわにいれる方法がある

蒸留器のうえの器に草原を潤す、冷たい水をそそぐ
















夏のモンゴルでも水は冷たい。30分おきくらいに、4~5回とりかえる。
10リットルの「酒をつくるためのアイラグ」から約3リットルくらいできる。
よくできた、シミアルヒはオヒといい、いい”酒” ”アルヒ”だ


そとに流すには受け取って別の容器に流す













できあがったシミアルヒだ。アルコールは約18度で飲み口は日本酒のようで、
冷もいいが熱燗もいい。モンゴルらしくトス、脂も浮いている。
めったに見ないがアルズという酒がある。2回、再度蒸留するのである
アルコール濃度は当然高くなる。さすがにこれはお目にかかったことはない・・・

出来上がった酒「シミアルヒ」である

















18度くらいの日本酒ににたような酒・・・モンゴルらしく脂もういている・









いい酔いももまわってきた。いよいよ最後の段階である・・・つづく

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